脱退一時金について
日本で年金に加入していた方は、納付したお金の一部を請求して、受け取ることができます。
「脱退一時金」と言われており、国民年金、厚生年金保険に加入していた人が年金制度から脱退した時に支給されます。
気をつける点、手続きをするためのポイントをお伝えします。
1.請求する前に確認すること
◎ 将来、日本の老齢年金を受け取る可能性がある方
脱退一時金を受けとると、脱退一時金を請求する以前のすべての期間が年金加入期間ではなくなってしまいます。したがって、脱退一時金を請求するかどうかは、将来、日本の老齢年金を受け取る可能性などを考えた上で慎重に検討してください。
◎ 日本と年金通算の協定を締結している国の年金制度に加入していた期間がある方
一定の要件のもと、加入期間を通算して日本及び協定相手国の年金を受け取ることができる場合があります。ただし、脱退一時金を受け取った場合、一時金を請求する以前のすべての期間が年金加入期間ではなくなるため、通算することができなくなります。
【日本と年金通算の社会保障協定を締結している国(2022 年 2 月現在)】
ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、フィンランド
2.脱退一時金を請求するための要件
◎ 日本国籍を持っていない
◎ 国民年金※または厚生年金保険(共済組合等を含む)に6月以上加入していた
◎ 老齢年金の受給資格期間(国民年金保険料納付済期間、厚生年金保険加入期間及び合算対象期間を合わせて10年間)を満たしていない
※受給資格期間が10年以上ある場合は、将来、日本の老齢年金として受け取ることができますので、脱退一時金を受け取ることができません
◎ 障がい年金等の年金を受ける権利を有したことがない
◎ 日本国内に住所を有していない
※市区町村に転出届を提出したうえで、再入国許可・みなし再入国許可を受けて出国する方は請求することができますが、転出届の提出がない場合、再入国許可の有効期間が経過するまでは国民年金の被保険者とされることから、脱退一時金は請求できませんのでご注意ください。
◎ 公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
3.提出時、気をつけること
◎ 出国前に日本国内から請求書を提出する場合には、住民票の転出(予定)日以降に請求書を日本年金機構へ提出してください。
◎ 帰国前に日本国内から請求書を郵送などにより送る場合、請求書が帰国日以降に日本年金機構に到達するように送付してください。
4.提出書類
① 脱退一時金請求書
脱退一時金の請求書は外国語と日本語が併記された様式となっており、以下の外国語に対応しています。
英語/中国語/韓国語/ポルトガル語/スペイン語/インドネシア語/フィリピノ(タガログ)語/タイ語/ベトナム語/ミャンマー語/カンボジア語/ロシア語/ネパール語/モンゴル語
ダウンロード:脱退一時金に関する手続きをおこなうとき
② パスポートのコピー(名前、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)
③ 日本に住所を持ってないことが確認できる書類(住民票の除票のコピー)
(出国前にお住いの市区町村で転出届を出した場合は住民票の除票のコピーは不要)
④ 受取先金融機関
「銀行名」「支店名」「支店の所在地」「口座番号」及び「請求者本人の口座名義」であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等。または、「銀行の証明」欄に銀行の証明を受けてください。)
⑤ 国民年金手帳、その他基礎年金番号が確認できる書類
※代理人が請求手続きを行う場合は「委任状」 が必要となります。
年金Q&A「代理人を通じて、脱退一時金の請求を行うことはできますか。」をご確認ください。
5.支給額計算の上限
2021年4月より36月(3年)から60月(5年)に改正されました。
注意1:国民年金保険料納付済み期間等又は厚生年金保険及び共済組合等の合計加入期間が 2021年3月以前のみの期間となる場合は、36月を上限として計算されます。
注意2:2021年(令和3年)4月以降に年金に加入期間がある場合脱退一時金の支給額は上限月数60月(5年)となります。
6.脱退一時金を複数回申請する場合
複数回の在留を繰り返し、日本の年金制度に加入する期間が通算で 61 月以上になる予定の方で、加入期間に応じた脱退一時金の受給を希望される場合には、帰国の都度、請求が必要になる場合があります。
例1:
2021年(令和3年)4月より、年金の加入期間が2021年(令和3 年)4月以降も1月以上ある場合脱退一時金の支給額上限月数が60月(5年)になります。
技能実習期間と特定技能期間の合計8年間分の脱退一時金を受け取るためには、次のとおり2回に分けて請求してください。
1.技能実習1号・2号終了後に一時帰国する時(3年間分)
2.特定技能1号終了後に帰国する時(5年間分)
例2:
1.技能実習1号・2号修了後、技能実習3号1年目に一時帰国する時
2.技能実習3号(2年目)、特定技能1号修了後に帰国する時(5年間分)
例3:
1.技能実習1号・2号修了後、一時帰国する時(3年分)
2.技能実習3号修了後に帰国する時
まとめ
脱退一時金を請求するかどうかは、将来を考え、慎重に検討してください。
請求する場合、書類も多いので、記入もれなど細かい点まで注意して手続きしてください。雇用企業が手続きする必要もあります。まずは企業の担当者に相談しましょう。
参考:
・脱退一時金の支給額は計算式により決まるのでJLEFsupport「脱退一時金」までご参照ください。
※「脱退一時金」
※2022年4月1日までの情報です。